「なんで?」

その瞳が純粋な疑問に輝きを放つ。


「なんで応援したい人を応援しちゃいけないの?」

あまりにも飾り気のない言葉に、一瞬声を失った。

欲望に忠実で、やりたいからやる。
そうやって進んできた道がいきなり閉ざされ、別のルートを進めと言われたのだ。


周囲にとって当たり前のマナーでも、奏にとっては理解できないことだったのだろう。

奏の視線が俺の抱えているトロフィーに向き、少しだけその光が翳る。

「アタシが足を引っ張ったならごめん。だけど、だけどね、ほんとにリーチを応援したかったんだ。それだけなんだ」

声が少しずつ掠れていって、最後には聞き取るのも難しいぐらいになってくる。


何から話そうか。

そう考えているうちに、先に口を開いたのは奏の方だった。



「ねぇリーチ。アタシ、嘘をついたよ」