何を言って…そんなわけがない。
だって奏はいつも俺に突っかかって来て、俺を叱るだけ叱って帰って行くんだ。
好きならもっと優しくするだろう？
それに、そうだよ。
「好きな奴に、振られたなんて相談するわけないだろ…」
そうやって恋愛相談をされている時点で、俺は彼女の恋愛対象には入っていない。
あんなに泣いたってことはまだ、あんたが好きってことなんじゃないのか。
けれど反論した俺に、タカは首を思いっきり傾げるだけだった。
「う、えぇ～…？ちょっと待てよ、奏がアンタになんて相談したって？」
ふざけた態度は素なのか、それとも自分は奏に好かれているという余裕からなのか。
知らず、語気が強くなる。
「…っだから！奏が、タカに振られたって言って泣きついてきたんだよ！」
「は、はぁぁ？おいおい、どーゆーことだ！？」
いくら俺でもここまで来ればわかる。
この顔は、本当に何も事態を理解してない顔だ。
