イライラしながら吐きだした告白の言葉はちっとも綺麗なんかじゃなかった。

若菜が息を止める音がする。


そこに混ざる、もうひとつの呼吸音。

「浅葱…」

若菜の声が揺れ、俺のこぶしの震えも大きくなる。

お盆に乗った3人分の飲み物。

浅葱もこれから、ここで俺の悩みを聞くつもりだったんだろうか。


いい人ぶって?
俺たちはお前のことなんて何でもわかってるって顔をして?

何もわかってねぇよ、お前なんか。


「兄貴、」

「そういうことだよ、浅葱」

浅葱の声を遮って投げやりに言うと、彼は身を乗り出して声を張り上げた。

お盆の上に乗ったジュースが揺れて、少しだけこぼれる。