非難するでもなく、先生はふんわりと柔らかく笑った。

「そういう時だってあるさ。問題なのは、そこからどうやって立ち直るかだよ」


先生なら、何か明確な答えをくれるのかと思っていた。

けれど考えてみればここまで先生の軸からぶれた人がそんなことをしてくれるわけがない。


「…僕は、君なら良い立ち直り方をすると思っている」

最後に重くプレッシャーがのしかかる言葉を残して、彼は今度こそ去って行ってしまった。


自分以外誰もいなくなった周囲を見回して、再び膝もとに視線を落とす。

期待されるのは、大嫌いだった。


お前ならできる。
そう言ったところで、あんたに俺の何がわかる。

いつもそう思って、やる気をなくすことがほとんどだった。


だけど今回はやる気をなくすというよりも、戸惑っている。

良い立ち直り方とは何だろう、と。