トランキライザー


 怒ってるところは、あまり見せたくない。きっと感情のまま本気で怒鳴れば、彼女はきっと俺の前から消えるだろう。こんな状況でも彼女の失うのが怖い。急に居なくなられるのは耐えられない。

「つぐみ」

「・・・ん?」

「ここで浮気すんなよな」

「・・・はい」

「そのシーツ捨てておいて。明日新しいの買ってくるから。俺はそこには近寄りたくもないから」

 さすがにここには寝たくない。ましてやあんな男のあとは嫌だ。