ある日の放課後、教室の掃除がちょっと遅れた。
すると彼が取っ手のついた大きな三角定規を取りに教室に駆け込んできた。
チャンスと思ったけれどそれがなんのチャンスなのかわからず、私はただ茫然と突っ立っていた。
「紺野さん、数学の授業……面白くないかな?」
少し困ったような顔をして彼が尋ねてきた。
「い、いえ……そんなんじゃ……」
私は言葉に詰まった。
ノートを一切取らない理由を正直に話したら、それは告白を意味する。
「友達からノートを借りてあとからコピーするのかな?でも、自分で直接黒板から写したほうが身につくよ」
上から押さえつけるような言い方ではなく、彼は優しくアドバイスしてくれた。
「はい」
自分でも信じられないくらいかわいらしい声で返事ができた。
私は彼に褒められるために一生懸命勉強することにした。
授業中、積極的に手も上げた。
数学の授業がない日はわからない振りをして彼に質問しに職員室へ押しかけた。
すると彼が取っ手のついた大きな三角定規を取りに教室に駆け込んできた。
チャンスと思ったけれどそれがなんのチャンスなのかわからず、私はただ茫然と突っ立っていた。
「紺野さん、数学の授業……面白くないかな?」
少し困ったような顔をして彼が尋ねてきた。
「い、いえ……そんなんじゃ……」
私は言葉に詰まった。
ノートを一切取らない理由を正直に話したら、それは告白を意味する。
「友達からノートを借りてあとからコピーするのかな?でも、自分で直接黒板から写したほうが身につくよ」
上から押さえつけるような言い方ではなく、彼は優しくアドバイスしてくれた。
「はい」
自分でも信じられないくらいかわいらしい声で返事ができた。
私は彼に褒められるために一生懸命勉強することにした。
授業中、積極的に手も上げた。
数学の授業がない日はわからない振りをして彼に質問しに職員室へ押しかけた。