望月は多田の隣に並んだ。
まるで正反対の二人だった。

「まずは、吉村立て。」

多田が、静かだが通る声で言う。

僕は、高校三年生でこんなに渋い声が出る多田に憧れた。

二年生の吉村は、サッと立ち上がったが緊張で、顔が青ざめていた。

「今から、お前の性根を叩き治す。」

そう言うと、多田は、吉村の腹を拳で突いた。

吉村は、後ろによろめいて腹を押さえた。

多田は、落ち着いて望月に合図した。

望月が、吉村の脇腹を軽く突いた。

吉村は、その場にゆっくり倒れた。

うつぶせで倒れた吉村に多田が竹刀で頭の右側を二度かなり強く突いた。