ニックはバージの入れたレモネードをグビグビと飲むと「でもさ」とあのロッズ事件の話を始めた。



『クロウがあれと遭遇して以来ロッズが目撃されなくなったって事は、やっぱりお前を探してたのかな…?』



『そう考えるのが妥当だけど…一緒に居た悪魔が気になるんだ…』



一瞬だったから断言出来ないが、天界に居た時にチラッと見掛けた…“マスティマ”という悪魔に似てた…。



きっとニックならその悪魔がどういう悪魔なのか判るだろう。



故に言えない…混乱を招き兼ねないから。



何故なら“マスティマ”は、神に寄って管理された悪魔だからだ。



つまり、神の為に悪に身を置く“絶対悪”。



…見間違えだと助かるが…。



『まぁ、とりあえずヒューガから連絡があったら教えてくれ。まずはそれからだ。』



『だな…じゃあ仕方ないから準備するかな…』



そう言って右京は重い腰を上げた。