それからと言うもの二人の間に亀裂ができ、何日たっても愛子は、せらと口を聞かなかった。

せらは、何度も自分が諦めるからと言って愛子に話しかけたが、愛子はなぜかそのたびに眉間にシワをよせて無視をした。


せらは、落ち込みながらもいつもの風習で図書室に向かった。
せらが図書室のドアを開けようとした瞬間、図書室の中から愛子の声が聞こえた。

せらは、ソッとドアの窓を覗いて図書室の中を見ると愛子と金髪の先輩が楽しそうに話をしているのが見えた。
せらは、思わず隠れるようにドアの前でしゃがみこんだ。

胸が締め付けられて苦しかった。久しぶりに愛子の笑顔を見れて嬉しいはずなのに、せらの目からは涙が溢れた。

せらは、足早に図書室から離れた。
どこに向かって歩いたか自分でもわからなかった。気づけば、校舎の屋上に来ていた。

せらは、屋上から町の景色を見ながら時間がたつのを待った。
それは、愛子と鉢合わせにならないためだった。

どれ程の時間が過ぎたかわからないくらい日も沈んできて夜になろうとしていた。

せらは、ボーッとしていたがハッとなり、急いで学校の門に走った。

しかし、門は閉まっていて出られなくなっていた。
困り果てているせらの後ろで声がした。

せらは、先生だと思い振り返ると、なんと金髪の先輩が立っていた。

せらは、ビックリしたが声には出さなかった。

「あちゃ〜。間に合わなかったか、つい本に集中しちまったよ。あれ?あんたも出遅れたの?」

金髪の先輩は、せらに話しかけてきたが、せらは緊張のあまり声が出せずに頷いた。

「じゃあ、こっちに来て。」
金髪の先輩は、そう言うと門のギリギリ手前までで立ち止まった。
せらも後についた。

金髪の先輩は、せらから鞄を取ると自分の鞄と一緒に門の外に放り投げた。
「あっ!」せらは、思わず声を出した。

せらが鞄に気をとられていると、突然体がフワッと宙に浮いた。

気がつけば、金髪の先輩に肩から担がれていた。

せらは、真っ赤になりバタバタと暴れた。
「あ、あの降ろして下さい!」

「別に変なことしねぇよ。」
そう言うと、せらを担いだまま軽々と門を飛びこえた。