―もっと、刺激的な恋を。―

今日は、僕の誕生日です。でも、とても悲しい日でもあります。
なぜなら、パパが行方不明と知らせを受けた日は、ちょうど僕が生まれた日だからです。



ママは、泣いています。



僕は、一歳になりました。一歳になったばかりの僕は、まだ上手にママを慰める言葉を話せません。


でも、ママの気持ちが伝わってきます。ママの心が伝わってきます。
だから、僕の気持ちは複雑です。


自分の誕生日なのに素直に喜べません。目の前には、美味しそうなケーキがあるのに、一歳になる僕の瞳には、ママの膝の上でママの顔を見上げるだけ。まるで、ママの顔はパパが今にも｢今、帰ったよ。｣と言って帰ってくるのを待っているかのように、呆然とロウソクの明かりを見つめています。
でも、パパはもう長い間帰って来ていません。


パパは、僕がもう少し成長すると、きっと自慢のできるパパです。
僕のパパは、坂本　仁(さかもと　じん)と言う名前の宇宙飛行士です。










そして、一年前。パパに何が起きたのか。
このお話は、パパがまだ生きていたと、はっきりわかる一年前の話になります。