「ごめん・・・・・・」 片桐さんはゆっくりと私から離れた。 窓から、観覧車の係の人が見えた。 そこから、観覧車を降りるまでの数秒間、沈黙が続いた。 あんな片桐さん、初めてだった。 今までも、抱きしめてくれたことはあったけど、冗談っぽく話しながらだったし。 今日みたいに、何も言わずに抱きしめられると、息ができないくらいにドキドキしちゃう。 どうしたんだろう。 「閉園の時間です」 アナウンスが聞こえて、私と片桐さんは車に戻った。 車に乗るまで何も話さなかった。 どうしたらいいんだろう。