「鈴音と離れるのは寂しいが… 誰かの何かの為になるのなら、わたしは喜んで鈴音を送り出そう。 鈴音をよろしく頼みます」 主人はそう言って頭をさげた。 愛娘を嫁に出す父親のような姿。 「わたしの命を救ってくれた君だから、任せるんです。 鈴音を、元気にしてやって下さい」 昴は、コクリと頷いていたが… 複雑そうな顔をしていたのは確かだった。 「ありがとうございます。必ず 成功するよう、努力します」 俺は力強く誓うように、そう返事をした。 主人は哀愁を隠すかのように、ニッコリと笑っていた。