――SAT専用訓練場。 「樹里、遅かったじゃない。何してたの?」 「えっ…」 美姫さんの言葉に、あたしは懸垂を一旦中止してしまった。 あの後、あたしは結局“アイツ”のせいで整列に遅れるハメになってしまった。 しかもご丁寧にアイツまで。 あげくの果て、司令官には怒られるし、みんなからは冷やかしの視線を感じるし。 ったく! どうしてくれんのよ! もしみんなに変な誤解されたら! 「ち、ちょっとトイレに行ってて…」 あたしは、なんともわざとらしい嘘を付いた。