低血圧のヒロは起きたらまず、大きな欠伸をもらしながらも、のろのろとシャワーを浴びに行く。


ザー……


バスルームのすりガラスの向こうで、ヒロのシルエットがぼんやりと映し出されていた。


本当は今すぐにでも扉を開け、裸のヒロに抱きつきたいのをこらえながら、俺は腕時計に視線を落とした。


「ふむ。ジャスト32分40秒♪」測り終えると同時にバスルームの扉が開いた。


ガチャッ


「おかえりハニー♪」両手を広げて出迎えると、


シャワーを浴び終えて裸のまま♪のヒロは一瞬固まったものの、すぐににっこり笑顔。


「ただいまダーリン♪」


お♪いつになく可愛い反応♪


「―――なんて、言うわけあるか!」


バンッ!!


思い切りドアをぶつけられ、俺はノックアウト。


美しい俺様が危うく鼻血を吹き出すところだったぜ。


そして今もヒロは不機嫌だ。


「風呂を覗くなって言っただろ!!」腰にバスタオルを巻きながら、ヒロは怒鳴った。


「覗いてないぜ?お前があがるのを待っていたんだ」


顔面から受けたドアパンチに怯みながらも、俺は何とか体勢を直してヒロに向き合った。


「減らず口っ」プイとヒロは顔を背けて、洗面所で髪を乾かしに入る。





ヒロは―――きれいな顔に似合わず口が悪いし、態度も悪い。そして意外と凶暴だ。



俺は今手なずけるのに苦労している最中ってわけ。