ガチャッ


聞いた覚えのある金属音がして、俺はぱっと目を開けた。


左手首には覚えのある金属の感触。


「―――なーーー!!」


俺の左手首と周の右手首には手錠がはめられていた。





「レアだろ?俺からの婚約指輪だ。受け取れ♪これでお前は一生俺のもの」




にっこり笑う周に、俺は自分が早まったことに今更気付いてしまった。




「ああ、それともこっちの方がいいか?俺のハートを盗んだ恋泥棒を逮捕♪」


「のしつけて返してやらぁ!!!」


俺は力いっぱい叫んだ。





   π PI


それは円周率。


円の周の長さと直径の比として定義される数学定数である。しばしば π で表される。


π = 3.14159 26535……


円周率は、無理数であるのみならず、超越数でもある。




その名の香りを纏う憎らしいほど、かっこいいアイツ。


「ハネムーンはやっぱりハワイ辺りか♪」

どこでもいいよ。


「お前の為に豪華スウィートルームを用意した♪今夜は楽しもう♪」

今夜“も”だろ?しかも楽しいのはお前だけだ!



こいつは男。



そして俺も男。





はぁ……



  π



それは無限を目指し、自由へ向けて歩みつづける男たちの香り。








~HAPPY END??~




→次のページからは甘め(?)の展開になります♪苦手な方はUターンを(>人<)