え―――…!?


塩田さんが俺を??


そんな素振り全然見えなかったのに…


でも…


『ヒロって鈍感だよね』


そう言えば前に比奈がそんなことを言っていたような―――


でも何で俺??


いやいやこの際細かいことを気にするな。



食事ぐらいなら…すぐに付き合いはじめるわけでもないし、気が合ったらそのときに考えればいいじゃないか。


塩田さんて結構可愛いし楽しいし。


なによりも―――“女”の子だし!!




迷う必要なんてこれっぽっちもない。


口実が出来たら周に連れて行かれそうになっても断ることができる。


いくらアイツでも先約を無視させることはしないだろう。(…と思う)


俺の平和な日常を取り戻すこともできる。





でも俺は―――




結局食事を断った―――





可愛いし楽しいし、なにより女性だけど、俺は乗り気になれなかった。


比奈のことを忘れられないとかじゃない。






俺の中に周の―――あのにくったらしい程のかっこいい笑みが浮かんで、


あの低くて甘い…くすぐるような声で




「それでいいのか?」




なんて囁いてくる。



「当たり前だろ?」





そう即答できない俺―――どうしたって言うんだよ。