『アキ…。ありがとう。もう死ぬなん
 て言うなよ。俺が守るから…。』



ズシッと体重がかかって
そのままその場にへたれ込んだ。



『郷田…?ちょっと郷田!?』



途切れ途切れの呼吸と指先が少し
痙攣してる。
きっと蒼白い顔をしているんだろう。



床に仰向けに寝かせて、
すぐさま目に入った手ぬぐいで
手首から上をきつく縛った。
止血しないと流血が止まりそうに
ない。



救急箱からガーゼを大量に出して
傷口に当てる。
瞬く間に赤く染まっていくガーゼ
を見ながら、蘇る記憶をはねのけて
あたしは必死に叫んでた。



『郷田!しっかりして!お願い、
 返事しろって!』



何枚ガーゼを当ててもすぐに
染まってしまう。
なるべく空気に触れないように
上から上へとガーゼを重ねた。



止血で使った手ぬぐいをもっと
縛り上げる。
気付いたら、あたしのズボンの
膝から下に床の血液が付いて
染み込んでいた。



うっすらと目を開けた郷田は
『大丈夫だから…』って何度も
呟いてる。
それでも傷付いた手を持ち上げて
止血するのを待った。