ここで人生終わるのも
アリなのかな…と頭の隅で
思っていた。



『人生つまんないか?』



無表情な顔と無機質な質問。
顔を上げ、ぼんやり浮かぶ
三日月を睨んだ。



『つまんないねぇ…。』



人生最後に言葉を交わした相手が
どこの誰だかわからない。
そんな幕の閉じ方も
あたしらしいのかもしれない。



『だったらやり直してみるか?』



……………!?



踵の向きを変えて
男の方に躰を向けた。



少しずつ歩み寄る男の顔が
徐々にハッキリと見えてくる。
月明かりに照らされた
彫り深い顔立ち。



そっと差し出された右手に気付き、
男と視線を合わせる。



『とりあえずこっちに降りたら
 どうだ?』