ギターのサウンドから始まる
悲しいメロディー。
何度もリピートしていたら自然と
口ずさめるようにまでなっていた。



最近では、
窓際のイスに腰掛け
遠目に外を眺めるのが日課だ。
すぐそばに大きな桜の木が
景色の半分を占めている。



『それ、Never Returnedて曲だよ。』



ネバーリターンド…?
何それ。



『帰らぬ人って意味さ。』



帰らぬ人……。



『歌詞、訳してあげようか?』



『え?』



『その曲、気に入ってんだろ?
 何回も聴いてる。』



確かに、たくさんある中で
この曲だけが耳から離れない。



郷田は白い紙にスラスラと
歌詞を書き始めた。



隣でそれを目で追う。