『あたしさぁ…キミが知りたいな。』
『え…?』
『もしかして初めて…?』
わかりやすいリアクション。
クスリと笑い、相手のお酒を口に含み
唇を重ねる。
馬乗りのなりキスを降らせると、
舌の上で転がしていた小さなカプセルは
お酒と一緒に流れてく。
絡み合う舌が徐々に衰え始める。
ゆっくり唇を離すと、
スヤスヤ眠るあどけない顔。
『…バイバーイ。』
ジャケットの胸ポケットに膨らむ
財布からお札だけを抜き取る。
やっぱりボンボンだな、持ってるわ。
キャップ帽をかぶり直して店を出た。
何食わぬ顔してまた歩き出す。
オヤジたちより簡単だったかも。
時間もかからなかったし。
けど、後々楽なのはオヤジたち。
金で解決できっからね。

