毎回、あぁ…もう死ぬのかなって
思うんだ。
死ぬ間際ってこんな感じなんだろう
なって…。



脳に酸素が届かなくなって
意識も途切れ途切れで
人は最期の瞬間を噛みしめる。



あたしは、何を思うかな…。



そうだな……



こんなあたしを産み落とした
親を最後まで恨んで
この瞳を閉じるんだろうな…。



そして、
「色」をなくした瞳で
もう一度「色」を見たいと願う。



叶うなんて思わないけど、
最後くらいは…って
期待してしまうのは馬鹿げてるかな。



ふわりと躰が浮いた気がして
魂が抜けていく感覚を覚えた。



酸素がゆっくりと脳に与えられてく。
朦朧とした意識の中で、
浮ついた躰が戻りゆく。



呼吸が楽になって
うっすらとぼやけた視界の隅に
郷田を見た気がした。



生暖かい柔らかな何かが
あたしを包み、
手放した意識が戻って
重い瞼を開ける。