鏡に映る自分が嫌でも目に入る。



“お前は変われる”



郷田の言葉が脳裏に蘇って、
下唇を噛んだ。



見た目はいくらでも変えれる。
今じゃ整形という選択肢だってある。
ただ、この躰の奥に潜む、
こびり付いた憎悪までもは
拭いとることは不可能だろう。



今日だって、
無意識のうちに病んでた。
一番見せたくない自分を
郷田の前でさらけ出してた。
時々急に襲われる空虚感には
自分自身太刀打ち出来ない。



だけどあんな風に
たった一言で気持ちが
沈んだのも初めてだ。
郷田の言葉と、
呪縛が一瞬にして解き放たれた
抱擁。



“もう独りにしないから”



そのセリフに遠い過去が過ぎった。



フラフラとベットの方へ歩いて、
足元に触れた瞬間、
目の前が真っ暗闇に覆われた。
胸の中心がえぐられたように
キリキリ痛む。



息がうまく出来なくて
首に手が伸びる。



『ゲホ!ゲホ!ハァ……!』



手足が痺れて、その場に崩れ落ち
ていく。