『バカとは何だ。
せっかくの親切心を……』
『頼んでないし。』
『ハン!可愛くねーヤツ。』
『だったら飼わなきゃいーじゃん!』
『おい。何もそこまで言ってねー
だろ。それに飼うとかそんな問
題じゃない。一緒に居ろって言っ
てるだけだ。』
『同じじゃん…!それとも何?
あたしに惚れてるとか?ハハハ、
アホらし。』
売り言葉に買い言葉とは
このことだろうか。
こんな熱くなってる自分の
落ち着け方がわからなくて
吐き出す言葉も止まらない。
睨みつける視線も
何をどうしたいのか自分でも
よくわからないまま…。
頭のテッペンを優しく
撫でて顔を覗き込む郷田の声は
とても優しかった。
『そういう時はありがとうって
言うんだぞ。アキは損してる。
もう少し楽に生きろよ。』
何かを諭す眼差しが怖くて
背を向けた。
楽に生きれたら、
それに越したことはないだろう。
それが出来ないから
苦しんでんだろが。
その先を知ってんなら
教えてくれよ。
とは言えずに、部屋に戻った。

