試着室のカーテンが開くたびに
凝視され、
首を横に振られるか
頷かれるかのどっちかだ。
何回目かの試着を終えた後、
『いい加減にしなよ』と言った。
『少し休もうか。』
その言葉に安心したのも束の間。
連れて行かれた場所は
メイクルーム。
更に数人のスタッフ出迎えられ、
椅子に座らされる。
『なっ、なんなの!?』
ジタバタするあたしの肩に
郷田の手が触れた。
『俺は見たいけどな。
お前が生まれ変わるところ。』
『え…?』
ピクリと頬が痙攣する。
また、巧みな言葉であたしを
翻弄するんだ…。
『アキ。本当の自分を、お前は
まだ見ていないはずだ。』
鏡越しに重なる視線が
あたしを1ミリも動けなくする。
自信に満ちた郷田の声。
ニッと笑う口元。
コイツから目が離せない。
『今は全て委ねてくれ。
俺を信じるんだ。』
頭では二言三言文句が浮かんでるのに
躰の奥はメラメラと
熱い何かが疼いている気がした。

