足元がフラついて壁に背中が
くっついた。
あたしの目にはまだ、刑事が
映っている。



躰が重い…………



熱い…………



首に微かな吐息がかかる。



ゆっくり顔を向けると脂汗びっしょりな
郷田が優しく微笑んでいる。



真っ正面からあたしを抱き寄せる郷田は
離れる気配はない。
逃げるタイミングでも図っているのだろ
うか。




『怪我はないか……?』



耳元でそっと囁く。



郷田……?
今そんなこと言ってる場合じゃないよ。
もう目の前に警察は居るんだよ?



困惑した顔で見つめるあたしの肩に
顔をうずめた。



『大丈夫なんだな……?』



チラッと前を見ながら相槌を打つ。



郷田は安心したようにフッと笑って
『良かった』と言いながら膝から
崩れた。