ドアを蹴り飛ばし勢いよく飛び出した。



あたしたちの手は強く結ばれている。
車に向かう途中で影が動いた。



『安西ユラだな?』



低い声が二人の足を止める。



背後から近付く足音。
息を止め瞳を閉じた。



郷田の内ポケットから拳銃を抜く。



『警察だ。銃を捨てろ。』



そう声がした瞬間、
振り返って銃を構えた。



相手は一人か。
見えない場所に複数隠れているのか。



『今なら間に合う。無駄な抵抗はよせ。
 刑期が延びるだけだぞ。』



白髪混じりの髪と髭。
刑事もあたしに向け銃を構えている。