『ユラ。見てみ。』



窓際から郷田があたしを呼ぶ。
外を見るように指差した。



『あ……。』



郷田が何も言わなくても
その意図が分かる。



此処から見える景色は
いつしか聴いたElick.Joneの歌詞に
出てくる風景。
そっくりそのまま映し出されていた。



彼もあたしと似た孤独を味わって
いたのだろうか。
無音だった世界に彼の音色が鳴り響く。
どんなに廃れた醜い心も
少しずつ洗われていく気がした。



此処から見える景色に何を思い描いて
いたの……?
それとも、終わりを見据えてた……?



あたしもあの空を辿りたい。
何もないまっさらな世界へ行きたいよ。
他には何もいらない。



この身と引き換えに何が待っている
のかなんて、誰も知らない。