灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~




『てめぇぶっ殺すぞ。』



『そんな口が利けるのも今のうちだ。』



笑わない目とヤニだらけの歯。
迫り来る脂ぎった顔。
バスローブからほんのり石鹸の香りと
体臭の混ざった匂いが鼻につく。



『おとなしくしていれば可愛がって
 やるよ。』



『てめぇ止めろよ!』



突き飛ばしてみたがピクリともしない。
逆にベットに押し倒され
腕をとられる。



ジタバタと躰をくねらせ
大声をあげた。
誰でもいい。
誰か来て……!



タオルを口に突っ込まれ首を
絞められる。



相手の据わった目つきを見たのが、
正常で居られた最後の瞬間だった。



そこからは途切れ途切れの記憶しか
ない。



どうやって免れたのかも



どうやってこの震えを止めたのかも



あたしは覚えていない。