トクン……トクン……



規則正しい心音は心を穏やかに
してくれる。



温かい腕の中。
あたしは郷田に全てを捧げた。



髪を撫でる大きな手のひら。
潤んだ灰色の瞳。



いつからか、
あたしは郷田とこうなることを
意識し始めていた。
時間の問題なんだと…。



染み込んでくる郷田の想いが
あたしを麻痺させていることに
気付かずにはいられなかった。



滑稽な自分を恨んだ。
醜い自分を見られたくなかったの。
郷田……
あんたは唯一の光をくれた人だから。



異常者だとわかっていながら
ずっとあたしを見ていたの?
あんたの方がよっぽどイカレてるって
思うけど、言葉に出来ない想いが
胸を馳せている。



信じた……?
信じてない……?
わかんない。