そそくさに歩いていると、
後ろからものすごい勢いで
右腕を引っ張られる。



半回転したあたしの目の前には
見覚えのあるロン毛男。
見上げた先に殺気立つ瞳。



『テメェ、やっと見つけたぜ。』



後ろから続々と歩み寄る足音。
5~6人は居るとみた。
ニヤニヤしながらあたしを囲む。
少し離れた場所に
カイと名乗った男の姿を見つけた。



『なに?何か用?急いでんだけど。』



『お前、このまま逃げきれると
 思うなよ。』



ジリジリと迫り来る男たち。



『ちょっと可愛がってやるよ。』



髪を撫でようとするロン毛の手を
振り払った。



『あんたに全く欲情しないんだけど?』



『なっ!テメェ…!』



ロン毛の怒りを買うと
すぐ背後にワンボックスカーが
停まった。
それに気を取られた隙に
みぞおちを食らい、うずくまる。



次の瞬間、躰が浮いて
車に投げ入れられる。
次々と男たちも乗り込み、
ドアは閉められた。