『アハ!ごめんごめん!あたしも
 マジ勘弁だから!』



『ハイハイ。じゃあおとなしく
 しててね?』



『あーん、わかったよぉ!ゆら、
 ごめーん!』



まるで幼い子どものように
泣きじゃくる金髪の子の頭を撫で、
そのまま手を引っ張って
部屋に消えていった。



『大丈夫ですか?』との声も
聞こえないくらい、
閉ざされたドアから目をそらせ
なかった。



その後は一度も姿を見せず、
作業は終わってしまった。
ズキズキと痛む手のひらを
見つめてはあの感触を思い出す。



細い指がこの手に触れた。
君は間違いなく「ゆら」で
また僕の心を一瞬で奪ったんだ。



気付いてないだろう?
自分がちゃんと笑えてないこと。
哀しい目をしてること。



もう少し……
もう少しで、僕たちは
誰の目も気にせずに
笑って過ごせるんだ……。



もう大丈夫だよ。
迎えにきたからね……。