他にも、
壁に向かって何かを話す老人や、
奇声を発する子どもたち、
女装しているオッサンも居た。



皆それぞれの闇を持ち、
異常者として扱われている。
此処ではそれが当たり前なんだ。
まともな人間は何処にも居ない。



ナースステーションでチラリと見たが
個別に監視カメラが設置してあった。
おそらく自殺を防ぐためだろう。



まさに
檻の中で飼われた猛獣たち……
暴れるもんなら安定剤で眠らせる
と言う……
怪我なんてしょっちゅうだから
治療もまちまちだそうだ。



俺はさっき目を背けた。



外の世界の人間は
きっとみんなそうなんだ。
俺のように、
受け入れられずに遠ざけ
ようとする。



誰もが先延ばしにしたり
避けてきた現状が此処には実存して、
たくさんの魂が叫んでる。



想像をはるかに越えた現実が
俺の中に流れ込んでくる。