灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~




『それは企業秘密です。しかし、
 法には触れてませんのでご安心を。』



闇の世界で飛び回るカラス。
誰にでもなりすまし、
欲しい情報を手に入れる。
どんな姑息な手を使ってでも
追いかけ回すんだ。



『今までも闇の組織を何度も相手に
 してきました。踏み込めるギリギ
 リまで我々は潜入しています。』



確かに……
自分一人の力じゃカルテなど
手に入らなかった。



『どうされますか?面会は不可能
 だと思われます。待たれますか?』



『え……?』



『感づかれてますよね?おそらく
 再び彼女は脱走する…そう考えて
 らっしゃるのでは?』



可能性はある。
でも必ずとは限らない。
俺は…どうすれば…?



『親族が居ない分、何かしら証明書
 が必要でしょうし、知人だと嘘を
 使っても外部と連絡を取り、脱走
 されては施設側が困りますからね。』



他に何か出来ることはないだろうか?
現にまだ面会出来たわけじゃない。
目的は果たせてないんだ。



『気長に待ちますか…?それとも……』