灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~




“ おそらく彼女が居るのは最上階。
 特定隔離している患者のみの階
 なはずです ”



俺は探偵の言葉を信じきっていた。
藁にもすがりたい気持ちで
いっぱいだった。
近くに居るのに、逢えない辛さが
心を支配していく。



早速、建物の設計図とセキュリティー
を調べてみた。



人手不足は避けられないはずだ。
必ず穴はあく。
セキュリティーも最新型ではない。



“ ちなみに脱走歴もあるようです ”



特定隔離されていても、
脱走出来るほどの詰めの甘さか。



俺は確信した。



必ずまた、脱走する。



間違いない。



一度知ってしまえば、何度でも
娑婆の空気を欲するはずだ。