灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~




『異常者のレベルで言うと、彼女は
 どの位置なのかまだわかりません。
 ですが、監視が付くぐらいです。
 触法精神病患者ということも考え
 られますね。』



『触法……?』



それは、殺人を犯したり
法に触れるということ。



触法精神病患者なら、
刑務所に入ることはない。
例え犯罪を犯しても、
罪に問われることはないんだ。
いや、問えないと言う方が
正しいだろう。



その位置にまで達している可能性は
充分にある。



もう、あの頃の面影などないのかも
しれない。



『施設を訪れても、面会は親族のみ
 です。どうされますか?』



親族なんて……居ないじゃないか。
じゃあ今まで外部の人間とも
接してないのか?
あんまりだ……。



『彼女を救ってやりたいんだ。』



その一言で気持ちを汲み取ったのか、
やけに冷静な態度で一呼吸ついた。