誰からも文句の出ない方向で
片付けたかった。
始めから望まれていた道の途中で、
俺は結果を残してやったんだ。
ちゃんと、恩返し出来たよな……?
『結果、ちゃんと残しましたからね。
後はよろしくお願いします。』
挨拶の前に堅く交わした握手。
叔父さんの目も潤んでいた。
これで全て終わりだ。
そう思っていた。
離縁届にサインをして叔父さんに
手渡すと、目の前でビリビリに破られて
しまう。
そして親戚一同が次々に顔を出した。
『秋人くん。もう一度、これを受け取っ
てくれないか?』
差し出されたのは、あの日、
喫茶店で突き返したはずの通帳。
『兄が君を見初めた意味を、みんな
心から理解し合えたんだ。こんな
俺たちのために、君は逃げなかっ
た。会社もここまで立派に立て直
してくれて…感謝している。』

