覚えるのに時間はかからない。
記憶力だけは自信がある。
後を継いで、業績を上げることが
俺の課題だった。
つまり、年商一億円アップが当初の
目標として掲げられ、俺が正式に
配属となる。
中には俺を嫌う奴も居たが、そこは
実力行使だ。
実力で挑んでくる奴なんか一人も
居なかったけど。
身内の中では、他人の俺が後継者と
なるのを良く思わないんだろう。
そのくらいは覚悟の上だった。
だけど、いざふたを開けてみると
何とも古きしきたりに縛られた
事業内容ばかりで、俺は一からの
立て直しを試みる。
半ば強引に、理解の遅い連中には
理解出来るまで説明を繰り返した。
家まで押しかけたこともあったな。
古い人間はその気にさせるまでに
少々時間がかかるが、
結束力が固まれば無限のパワーを
発揮する。

