「好きな勉強をしなさい」
「好きな学校へ行きなさい」
「夢を持ちなさい」
義理の両親は常に俺にそう言い聞かせて
割と自由に生活をさせてくれた。
だけどそれが逆にプレッシャー
だったんだ。
何をどうすればいいのかが
わからない。
だからひたすら勉強に明け暮れた。
いい大学に入れば悪く言われること
はないだろう。
案の定、県内トップの高等学校に
進学すると、少しずつ会社にまで
連れて行かれる機会が増え、
得意気に俺を紹介してる。
大学進学を控えたある日、
「会社を継いでほしい」との話が
出た。
俺もそのつもりだったし、苦では
なかったから即座に承諾した。
地獄の底から救ってくれた義理の
両親に、少しでも恩返しが出来れば
それでいい。
その為に養子縁組みを組んだことも
理解している。
これで成功したら、独立してみよう。
そう思っていた。
季節は移りゆき、
その間も順調良く事を重ね、
大学卒業を間近に控えた頃。
ホテルマンとしての実務や
経営側としての実務に早いうちから
携わる。

