一晩中、郷田はあたしのそばに
居てくれた。
理由は何も聞いてこない。
ただそっと肩を撫でてくれていた。
落ち着いた頃に郷田は言った。
『独りにしてごめん。もうしない
から。』
ジワッと溢れ出す涙がシャツの
ポケットに滲む。
優しいトーンと心地良い心音が
落ち着かせてくれる。
甘い香りも安らぎを与えてくれてる。
体重を全部預けて
泣き疲れて眠ってしまった。
浅い眠りの中で
『ゆら…』と誰かがあたしを呼んだ
気がした。
その声も次第に遠のいて、
意識が途切れていく。
こんなに気持ち良く眠りについたのは
いつぶりだろうか。
人の体温がこんなに心地良いなんて
知らなかった。
心も躰も、冷たい人間しか
交わることがなかったから。
誰にも心を預けなかったのに
意識を手放すほど
あたしは郷田に気を許しているの…?

