ガチャッと開いて、
誰かがそぱまでやって来る
気配を感じた。
やがてベットに腰掛けて、
髪を撫でられる。
バレないように、
規則正しい寝息をたてて
様子を見た。
すぐそばで相手の呼吸音を
感じ取れるほどの距離まで
近くに居るとわかる。
そうか…。
あたしは今からヤられるのか。
そう思った瞬間、
クスッと笑う声がした。
『起きているんだろう?』
その言葉に観念して瞳を開けた。
相手は桟橋から飛び降りる前に
声をかけてきた男だった。
『軽い脳震盪を起こしたみたいだけど
大丈夫だ。ケガもない。念のため明
日脳検査を受けてみよう。』
Yシャツにノーネクタイなラフな
格好をした男は
何の前置きもなくそう説明した。
脳検査!?
冗談じゃない。
病院とか警察とか
公的機関に関わるわけには
いかないんだ。

