灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~




『もう…お前を失いたくないんだ。』



切なく響く郷田の声。



あたしには理解出来ない。



これほど他人から必要とされたこと
がないし、
言い寄る相手も皆、躰目当てだった
から。



郷田もその一人かも知れないのに、
どうしてあたしは
何も抵抗出来ないんだろう……。



どうして涙は止まらないの……。



嫌いだよ……



気安く触んないで。



これ以上踏み込んでくんな……



お前だってどうせ、
本当のあたしを知ったら
消えていくくせに……



醜いあたしを、
受け入れられるはずがないんだ……



『アキ……』



やめろ。



これ以上あたしを呼ばないで……