灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~




『あたしはあんたなんか大っ嫌い。』



『知ってるよ。』



こんなにあたしの心は震えているのに、
あんたは涼しい顔してあたしを
見つめてる。



そして、こう言ったの。



『そのうち自分の意志で選ぶ日が
 くる。必ずね。』



もう戻れないかも知れない……



もう一度、
あたしは人を愛し、心を許し、
焦がれるのだろうか。



胸が、心が、締め付けられて
呼吸がうまく出来ない。



あたしは…どうなるの?



優しく微笑む郷田の瞳に捕らわれ、
身動き出来ずにいる。



話す一言一言が、
あたしの心を奪っていく。



『俺からは離れるなよ。』



ベットに腰掛けて、上半身裸のまま
見上げる瞳。
半分濡れた前髪が色っぽさを
醸し出している。