『ごめん……』
自然と口からこぼれ出た言葉。
初めて、他人に対して
申し訳ないことをしたと思った。
酷く後悔した。
『アキは悪くない。そんな顔するなよ。』
どうしてそんなことが言えるの…?
どうして笑ってる…?
どうして『お前がケガをしてないなら
それでいい』なんて言うの…?
『おかしいよ…。郷田間違ってるよ……』
ようやく出たか細い声も
涙に呑まれてく。
こんな愛し方があるだろうか……
突っ立ったままのあたしに
郷田は変わらず
穏やかなトーンで答えた。
『間違っててもいいじゃないか。
それが俺たちの答えなら、誰が何を
言おうと正しいんだ。二人が理解し
ていれば、俺はそれでいい。他には
何も望まないよ。』
出逢った頃から、この瞳が嫌だった。
何もかも見透かされているようで
足が竦んだ。
だけど本当は、受け入れてしまいそう
で怖かった。
他人を許してしまいそうで、
嘘かも知れない優しさに溺れて
しまいそうで、
どうにかなりそうだったんだ……。

