静かに背中を拭いて、
正面に向かい鎖骨に手が伸びる。
『こんなふうに誰かの相手をしたこと
があるのか?』
その声にあたしの手は止まる。
『何が?こんな仕事したことあるのか
ってこと?』
澄んだ瞳の奥でまた、
あたしを試すような言い方。
『あまりにも慣れた手つきだからな。
ちょっと思っただけ。』
『だったらどうなわけ?ていうか
あたしどんな女なのよ。あんたの
中じゃかなり廃れた女なんだね。』
あたしだって仕事くらい選ぶわよ。
金のためなら何だってしてきたけど…。
『何でも受け入れる覚悟は出来てる
さ。ただ、全て知りたいんだ。
アキのこと。』
絡まる視線。
『本気なの…?』
自分の意志より先に口が動いた。
こんなこと、聞きたいわけじゃない。

