クローゼットに視線を向けると
ただごく普通に服がかけられていた。
ほとんどがシャツ関係だけど。
右側下に少し大きめの茶色い封筒が
立てかけられていることに気付いた。
『その白いシャツでいいよ。』
白って言われてもよくわかんない
んだけど……
全てが灰色の世界だからさ。
親を失った日から、あたしの瞳に
色はない。
まぁ、淡い色を言われるよりかは
マシか。
『コレ…?』
適当に指差したら郷田は頷いた。
クローゼットを静かに閉めて
シャツを手渡す。
『いいよ。そのまま待ってて。』
片腕じゃ着替えもままならないこと
くらいわかってる。
タオルを固く絞っておく。
ベットに上半身だけ起こしたままの
郷田の着ていたシャツに手をかける。
一つ一つ上から順番にボタンを
外していく。

