真夜中の二時。



氷水で絞ったタオルを郷田の
額に乗せる。



応急処置でガーゼの上から
包帯を巻いた右手。



支えながら郷田の部屋の
ベットルームまで運んだ。
今は高熱にうなされている。
時々汗をタオルで拭き取っていた。



自分のせいでこうなったこと。
今更後悔しても意味がない。



その罪滅ぼしではないが、
郷田のそばから離れることは
考えられなかった。
ひたすらタオルを取り替え、
止血した手を見つめている。



“お前を死なせない”と言った。
あの瞳は本気なの…?
あたしは、あんたを信じていいの…?



初めて触れた唇がやけに
色っぽく映ってる。
また、触れたくなってる。



汗で濡れた前髪。
熱い躰。
肩で息をしながら、
時折うわごとであたしを
呼んでる。



そのたびに“此処にいるよ”って
頬に触れて。