透明水彩


わからないわからないわからない。
いくら考えたところで答えなんて出る訳でも無いし、誰かが提示してくれる訳でも無い。

ただ困惑していく頭の中では、受け入れられない現実と釈然としない不安、真っ赤に佇む恐怖が交錯していた。

――お父さんが、コロサレタ。
――お母さんも、コロサレタ。

ただ死んだ訳じゃなく、誰か、第三者にコロサレタ。真っ赤に彩られて、コロサレタ。

……そう、真っ赤に。

壁も床も机も椅子も、真っ赤。
あたしの生活空間が、真っ赤。
お父さんもお母さんも、真っ赤。
あたしの身体も手も、真っ赤。

お母さんの傍らに座り込んだまま、震える両手に視線を落とす。今までに見たことも無いような鮮やかな赤が気持ち悪くて、怖くて。

唇がわなわなと震え出すのと同時に、頬に生暖かいものが伝った。