そんな中、そっと仰向けに倒れる母の傍らへと歩み寄る。音楽がやみ、外の雨の音だけが響く室内、血で汚れることも構わずにお母さんを抱き寄せた。
…――お父さんと、同じ。
生きていないと証明するような、嫌な冷たさがじわじわと伝わってくる。硬くなった体が、人間というより人形を彷彿させた。
――ああ、お母さんも死んでしまったのか、なんて、何だか他人事のようにも思えた。
それにしても、だ。
あたしが帰宅する前、何があったのかなんてわからないけれど。両親が殺されてしまう理由なんて、果してあったのだろうか。
あたしが知る限り、二人には殺されるようないざこざも、理由もない。だからこそ、意味がわからない。
冷たく動かないお母さんを再び横たえれば、あたし自身の制服も、両手も、真っ赤に染まっていた。
真っ赤…
その色に触発され、不意に、漠然とわき上がってきた疑問。何故、あたしだけが生きて、この場に存在しているのだろうか、と。
ふたりは死んでしまったのに。


