透明水彩


理人はどこまで知っているのだろうか、と、漠然とした不安と疑問が、胸を過ぎる。


「……ねぇ理人、」

「ん?」

「叔父さんから、何を、どこまで聞いてるの?」


もし叔父さんが、手紙のことも組織のことも装置のことも、あたしが“安全な世界”へ行く必要があるかもしれないってことも、理人に全て話したのだとしたら…。

あたしがこうやって隠す必要なんて無くなる。もちろん、ごまかす必要も無い。そんな思いを込めた問いに、理人はあからさまに眉を顰めた。


「何をどこまで、って。何を?」

「…は?」

「は?じゃないよ。別に俺は、美凪が引きこもりだって話しか聞いてない。」


…――ああ、墓穴を掘った。
瞬時に、そう思った。

そして理人は、あたしの不安とは裏腹に、別に何も聞いていないと、まるで何でもないことのように答える。


「……美凪、何か隠してるだろ。やっぱり、何か悩んでるの?」


加えて案の定、何かを察した様子で真剣に問いかけてくるけれど。バツが悪くなったあたしは、思わず視線を理人からそらした。