内心、ホッと胸を撫で下ろしたあたしを知る由もなく、藍香は理人の言葉で何かを思い出したらしい。はっとしたように、理人に向けていた視線を勢い良くあたしへと戻す。
「……そうだった。忘れてた。全く私、何してんだか。」
呟かれる独り言に、どうやら無事に話題が掏り替わったと感じ、あたしはただ、藍香から紡がれるであろう続きの言葉を待った――けれど。
「ねえ美凪。外、行こうよ。私今日、美凪を連れ出したくて会いに来たの。」
「……え? 連れ出す?」
満面の笑みで告げられた、関連性を持たない言葉に眉根が寄る。何であたしが、外に連れ出されなきゃいけないの。そう問い返そうとしたのを遮るように、今度は理人が藍香の言葉を補足する。
「美凪、しばらく外に出て無いんだろ。正臣さんが、美凪が引きこもりがちだって心配してた。」
「……叔父さんが?」
叔父さんが、あたしを心配してる。
何となくそれは、叔父さんの態度から感じていたけれど。まさかそんな話を、理人にまで話していたなんて――…


